第26章 漂流
『海はやさしくて、とてもキレイだ。
大いなる恵みを与えてくれる。
しかし、時に残酷にもなる。
それも、急にだぞ。
時には…大きな代償を払わされることもある』
緊張で、海水の冷たさは感じなかった。
重い
“海に嫌われた能力者”
背中に担いだローの身体は鉛のように重かった。
そのローの背中には、さらに竪琴と刀が背負われている。
“負け”ない
あきらめない
絶対に死なせない
船の残骸らしき木片が漂う中、まずは安定していられるために上向きに泳ぐ。どの程度上向きに泳ぐ必要があるのか。落ち着いて思考するためにも、まずは浮いていられる力を見定めなければ。
足先だけの泳ぎじゃダメだ
太ももから
できるだけ長く持たせるためには
ゆっくり 大きな動きで 泳ぐ
………………しかし、これは
キツイ!!!
アルコはローの腕を押さえていた手を、片方だけ恐る恐る離してみた。彼はしがみつくだけの力はあるようだ。
バランスを取り、方向を変えるために手でも海水をかく。
太陽の方向は ──────
波に飲まれながらも、あたりを見渡す。
時折、その波で頭から海水をかぶるが、落ち着いて浮上することに集中した。
最初からこんなにギリギリで、大丈夫なんだろうか
一瞬で心のすべてを支配しそうになる“不安”を、“負け”ずに押し返す。
“負け”ない
あきらめない
ローを死なせない
絶対に