第26章 漂流
「口、開けろ」
「………」
「あーん、は?」
「あーー…ん」
『いるのか、それ』と思いつつ、“先生”には逆らわず従う。しかし、案の定ローはうっすら笑っていて、アルコは口を大きく開けたまま疑いの目を向けた。そんな視線にも、ローは ひるまずに一旦器具を取り出して、さらにニヤリと笑った。
「切り離されるのと、突っ込まれるのと、どっちがいい」
本気だ。
猟奇的なことを さらりと言ってくる
この男は、本気だ。
「う~ん…、…突っ込んで」
「その言い方、やめろ」
「自分が選べって言ったんでしょ」
ローはポリポリとうなじを掻いてから、アルコの首にかけていたタオルを少し広げて、下着姿の胸元を隠すように整えた。
「少し上向け。声出して、喉開いてろよ」
「…わかった、がんばる」
ローは膝立ちになって、座っているアルコに近づきアゴを押さえた。
「はい、あーん」
「あーー…………あ゛…」
苦しい 苦しい
けっこう いきますね、先生
「あと 3秒」
「あ゛ー………え゛え゛………ーー!?」
なんという 悠久の3秒間・・・
えずく寸前に、器具を抜かれて涙目をぬぐう。咳払いをしたら えずいてしまいそうだったので、ゆっくりと浅い呼吸をすることに集中した。