第26章 漂流
「ふ~………」
アルコは海苔を巻いていない おにぎりを食べながら、大きなため息をついた。
ワニの喉元に船尾を押してもらいながら、船は思いのほか安定した航海を続けている。
遠くワニの外では、いまだに大雨が降っている。
ワニの屋根
こんなこと不思議なことがあるなんて
生きた心地がしなかったのも最初だけで、ワニには気づかれる気配もないことがわかると、この環境にもだんだん慣れてきて、アルコはすっかりくつろいでいた。
ローは びしょ濡れになった服を脱いで、上半身は裸のままだ。
「アルコも乾かせよ、今のうちに」
「…うん」
まあ、船の上だし…
ローしかいないし…
アルコはひとり船首側まで行き、屋根に遮られる位置で、着ていた植物柄の長袖のシャツを脱いで絞った。
左腕やわき腹、腹まわりの“白いアザ”が露(あらわ)になる。
下着はさすがに…
ま、水着みたいなもんだと思えば、このままでいっか
乾いたタオルで下着の中の胸元や背中を拭いて、シャツを船の縁に干した。
雨は遮られているが、ワニの屋根の下は薄暗く、到底 乾きそうにない。
タオルを肩にかけて できるだけ胸元を隠した状態で、荷物の中にある上着を取りに行った。
「………」
(そんな、見ないでよ)
濡れないように洗面室の棚の上に避難させていた荷物をかき分けていると、
プチン…
急に胸の締めつけが楽になる。
「…やめてください」
「濡れてるぞ、乾かせよ」
「いいの。どうせ また濡れるかもだし」