第26章 漂流
「………………………ムリ」
「………待て。気づいてねェ」
見上げると船のすぐ上に、ゴツゴツとした固そうな鱗(うろこ)のあるヒダヒダ模様が、ずっと先まで続いていた。
いつの間にか船は、ワニのような海王類の長いアゴの下に入り込んだようだ。
急に雨音が止み シン…とした船上で、二人はおのずと小声になった。
「今のうちだ、水をかき出す」
「このワニ潜ったら…? こんなとこにいて、私達、死ぬでしょ」
「潜ったら、な」
「…………」
アルコは考えるのをやめて、無心で水を船外にかき出した。ローは船底の板が緩んでいる場所に見当をつけて、上から補強のための板を釘で打ち付けていった。
船内に溜まっていた水が徐々に減ってくる。
安心したのも束の間、今度は海王類の喉元が船に迫ってきた。どうやら進み始めたらしい。
二人は顔を見合せて、考える。
「素手で………?」
「それしかない」
衝突は避けられない。むしろ このまま海王類のワニの屋根の下に入ったまま、進めるのは好都合かもしれない。
しかし、気づかれないように。
傷つけないように。
闘えない…こともないが、たぶん船がもたない。
ローは船尾に取りつけていた『クウトリワ』の木片を外して船内に置いた。
二人は迫り来るワニの皮膚を押し返すために、船尾の縁に並んで立ち、両手をかかげた。
「ふんわりね、ふんわり」
「わかってる」
・・・・ぶにっ