第25章 high sensitivity
「ありがとうございます! がんばって育てますね」
「まあ、無理しないで。
上手くいかなかったら、やり直せばいいのよ。何度でも」
「…ありがとうございます」
(自分の母親が生きていれば、このくらいの年齢だろうか)
琥珀色の髪を揺らして、優しく微笑んだ女性を見て、アルコは思わず目頭が熱くなった。
壺を抱えて瞳を潤ませるアルコの肩を、アンバーは優しく抱きしめた。
「こちらこそ、父と………きっとあの子達がお世話になったわね。ありがとう」
「………いえ」
「人間には“負け”はないのよ」
(自分の子達が生きていれば、このくらいの年齢だろうか)
アンバーの左右の青い瞳と緑の瞳も、潤んで揺れていた。
「さあ お嬢さん、はよ乗らんか! 出航じゃ」
「がんばってね。あなたは“負け”ないわ」
「行くぞ」
ローの手をとって『クウトリワ』の木片を船尾に取りつけた方の船に乗り込んだ。
錆びた琥珀色の鐘は、澄んだ音を響かせた。その音は、アルコの竪琴の音色によく似ていた。
「ありがとう」
ロープで繋がれた2隻の船は、ゆっくりと船着き場を離れ、“ジブラ”の待つ沖へと進んでいった。