第25章 high sensitivity
~ 数日後 ~
天気は快晴
風は北西から西より
二人は今日、グレート・鰤(ブリ)テン島を出航する
「アンバー、わしは二人をキビレ海流に乗るまで送ってくる」
「お父さん、気をつけて。無理しないでよ」
「わかっとる! 飯を作って、待っとってくれよ」
シルバーは豪快に笑いながら、出航の準備を整えていた。船着き場まで見送りに来てくれた琥珀色の髪の女性は、抱えていた茶色い蓋つきの壺をアルコに手渡した。
「アルコさん、これ。よかったら持っていって」
「これ…、なんですか?」
「開けてみて」
蓋を開けると、フルーツのような深みのある独特な香りが漂った。壺と同じ薄茶色に敷き詰められたものから、野菜の頭が覗いている。
「こ、これは…!! 糠(ぬか)漬けっ! いいんですかっ!?」
「ええ、もちろん。好きなんでしょう?」
シルバーの娘であり、アイビーの母親であるアンバーも、“ジブラ”のエラから出てきたアイビーの指輪を見て 少しずつ前を向くことを決めたようだ。
シルバーの家に滞在させてもらっている間、彼女は度々シルバーの家を訪れ、何度か一緒に食事をした。
彼女は、アルコが漬け物を漬けまくっているのを知っていた。
『糠漬けだけは、ハードルが高くて漬けてみたいけど、漬けられない』
と嘆いていたのを覚えていたのだ。