第25章 high sensitivity
「…わかったよ。
ローには かなわない。それくらいは、わかってる」
アイビーは悲しげに言った。しかし、先ほどまでの悲壮感は消えていた。
納得を漂わせた悲しさを振り切り、大人のような口調でローを諌め始めた。
「ちゃんとアルコに伝えないと、そのうちホントに飛んで行っちゃうよ」
「うるせェな、わかってる」
「あの船での航海は、本当に危険だからね。何事もなく、無事に たどり着ける方が奇跡だからね」
「わかってるよ」
偉そうに
わかりきったことばかり言いやがって
なにが『わかることは よくわかる』だ
“天使”なら
“神”に近い存在だとでも言うんなら
おれにわからないことでも言ってみろ
「せめて……今は治療はやめたほうがいい」
「……?!」
「ローには、どうすることもできない。アルコの力が必要になるから」
「待て。それはどういう………」
アルコの演奏が終わると同時に、アイビーの姿は消えていた。
青い花の香りは一瞬だけ強く漂ったが、すぐに薄れていった。