第25章 high sensitivity
「コレじゃないのか」
ローが花畑からそれたところの小道から森に入り込み、一本の木に触れていた。
「ああ…コレは。違うんじゃないかな。『イナカウ』の木かもしれない。
しかし高いですね…。ローさん、葉っぱ採集できます? できれば若めのヤツ」
『クウトリワ』の木を探す二人を背に、アルコはまだ青い花畑に心を奪われていた。
いや、これは………
心を『奪われている』のではない
何かが心に『入ってくる』
誰かの記憶
青い花畑で無邪気に遊ぶ
たくさんの子供達
その中でひときわ美しいのは
金髪で青い瞳の女の子
花を集めて冠を作っている
ただ、この美しさに触れたかっただけ
ただ、この美しさを伝えたかっただけ
「ぼくの双子の妹だよ」
アイビーの声で『ココ』に引き戻される。
「“聖なる花”なんて言わずに最初から“毒の花”って言えばよかったんだ。そうすれば、ぼくの妹だって…触れなかったかもしれない」
青い森で死んだ少女と、緑の海で死んだ少年。
二人の“聖なる魂”にさらされたアルコは、呆然と立ちすくむ。
その瞳からは、徐々に生気が失われていくようだった。