第25章 high sensitivity
「“聖なる森”だぞ。お前、大丈夫なのか。成仏しちまうぞ」
「ヒドイよ、ロー」
腰に片手をついて悪い冗談を吐くローから逃げるように、アイビーはアルコに抱きついた。
「………」
「オイ、何 赤くなってんだ」
「だって…、なんか ときめいちゃって」
「こんなガキに、今さら?」
ローは怪訝な顔を自分達に向けている。
やっぱりローに見えてるのは、子供の姿のままなんだ
なんで? どうして私にだけ??
「アルコには、見えてるんだね。嬉しい」
アルコの耳もとで、アイビーは ささやいた。
声まで低いよ
どうしちゃったの
それになんだか クラクラするような
花みたいな香りが ────
ときめきを認めることで、ドキドキする鼓動を抑えようとしたのだが、上手くいかない。
アイビーはアルコのほほに優しく触れながら、いたずらっぽく笑いながら言った。
「今朝、ローがアルコにしてたこと。アレ見てたら さすがに悔しくて。そう思ってたら“こう”なった…のかな」
「え………っ、と…」
その顔は、もはや『子供らしい』とか『天使みたい』とかそんなんではなく、毒気すら感じさせる色っぽい男の顔だった。
しかも、今朝の戯れを見られていた。
アルコの目は泳ぎ、顔はますます赤く染まる。
「よしっ! 開きました、行きましょう」
「そ、そうだね! 行こ、行こ」
アイビーからの不意討ちのような攻撃と気恥ずかしさを振り払うように、ディンに続いて足を踏み鳴らす。
「お前……、アルコに何かしたのか」
「別に。“ぼくは”なにもしてないよ」
アイビーはわざとらしい程の子供っぽい声で、ローの問いかけに返事をした。