第25章 high sensitivity
「調査の申請をしてきます。ぼくが適当な理由をつければ、すぐ通ると思いますから」
「え、申請がいるの? 森に入るのに」
「“聖なる森”ですからね。女王からの指名で、教会が管理しています。この国は敬虔(けいけん)さを重んじますから」
「へー…」
そういうものなのか。協力的でしっかり者のディンにアルコは感心しているが、ローは「だから、なんなんだ」とでも言いたげだ。海軍を警戒するのはわかるけど、こんなに親身になってくれてるんだから そこまで反抗的な態度を取らないで欲しい。
ディンが手続きのために部屋を去っていった。二人きりになった部屋で、ローに問いかける。
「“聖なる森”だって。
シルバーさんは、一言もそんなこと言ってなかったね」
「あのジジィは“敬虔”な人間じゃねェんだろ。
……大事なものを理不尽に失えば、“神”を信じなくて当然だ」
「…そうだね」
ローの言う通りだと思った。
でも、時に理不尽な、人間には到底理解しがたい所業をするのが“神”であるともアルコには思えた。
「ローは、“神”を信じてるの?」
アルコは祈るような目を向けた。
自分達は故郷フレバンスを追われた。
それはまさに“神も仏もない”ような出来事だった。
それでも ────
それは“神”の仕業ではない。
すべて“人間”による出来事だ。
“人間”によって
消された 王国
消された 歴史
消された 病気
アルコは“神”のせいにして嘆くほど、無知で愚かなことはしないと決めていた。
もし“神”の所業があるというのなら
それは ────
私達は生き延びた
そして、出会った
それを“神”に感謝すべきだ