第25章 high sensitivity
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「クウイゴスの木ですか…、ないとは言い切れませんが。グレート・鰤(ブリ)テン島に自生するには、湿度が高過ぎるような気もします」
ディンは眼鏡を触るいつものクセをみせながら言った。
ローとアルコは、海軍支部の応接室でディンと向かい合っていた。
『新しい方の船をもらう』というシルバーの提案は断ったものの、二人は『クウイゴスの木片』については、もう少し検討することにしたのだった。
命懸けの危険な航海であることには変わりない。出来るだけリスクを回避し、次の島にたどり着ける確率を上げるためだ。
アルコはシルバーの家にあった図鑑を読み漁(あさ)り、『クウイゴスの木は冬島以外には割りと普通に自生する』という記述を見つけた。
普通に生えているのに、高価で希少な木材として扱われている理由は『見分けが困難』だかららしい。
『見分けられさえすれば』
その教えを乞うために、二人は博識のディンの元を訪れたのだった。
「そっかぁ…、どこにでも生えてるって訳じゃないんだね」
「あるかもしれねェんだろ」
「う~ん………」
ディンは苦しそうに首をひねっている。
自生するには“湿度”も関係あるらしい。ディンの表情は、この島には自生している可能性が相当低いことを物語っていた。
しかし、図鑑には書いていないことを知っているディンは、やはり博識だ。