第25章 high sensitivity
──── どれくらいの時間が経ったのだろうか
一瞬な気もするし、数時間な気もした。
そのうち、水面にザバリと“ジブラ”が姿を現した。
「グ、グェ ────………」
「なんじゃ………お前。ひとりだけ上がってきおって…」
「グェッ、グェッ」
「わしは離さんぞ………!
絶ッッ対に助ける!!
お前みたいに……、諦めたりはせん!!!」
「グェッ、グェ ───」
「うるさいッッッ!! お前に何がわかる!! あの子がどんなに………、
お前に何がわかるッッッ!!!?」
ロープを握る手に血はにじみ、感覚はもはやない。
しかし彼は3日間 ────
正確にはまる3晩をまたいで4日間
ロープを引き揚げ続けた ────
そして4日目の朝
船の縁にこすりつけたロープを強く握り絞めたまま、気絶しているシルバーを漁師仲間が発見し、救助した。
かたわらでは ゼブラ柄の海王類が必死に何かを訴え続けていたが、その声が理解できるものは もはや誰もいなかった。
= = = = = = = = = = = =
──── それから10年
失ったものを受け入れるのに充分な時間とは、果たしてどれくらいなんだろうか
──── あれから12年
残されたものを見つめて、前を向くには、どれくらいの時間が必要なんだろうか
それは
人によって
傷によって
失ったものによって
残されたものによって
異なる