第25章 high sensitivity
血の匂いに誘われた鮫(サメ)達がいつの間にか船を包囲し、興奮するように暴れまわっていた。
そのうちの一匹がカジキの魚体の横っ面にかぶりつき、海中へと引ったくろうと暴れまわる。
船は大きな衝撃を受けた。
カジキを繋いだロープが手からすり抜けるが、シルバーは船の縁に足を踏ん張ってロープを握り直した。
ドカッッ!!
再び、船は衝撃を受けた。今度は船首側だ。シルバーがそちらに目を向けた時、ロープが“アタリ”を捉えたようにブルブルと震えた。
カジキが食いちぎられる
逆らえば、船が転覆しかねん
一旦ロープを緩め、シルバーが船の上に視線を戻した時
「・・・・・」
船上には、奇妙な静寂が漂っていた。
アイビーがいない
カジキも
網も
銛も
シルバーは、シュルシュルと海中へ滑り出ていくロープを右手で押さえるのがやっとだった。
「グェ ────ッッ!!!」
“ジブラ”は大きくひとつ鳴いてから、海中へと潜っていく。
シルバーは、血眼で ただロープを持つ手に力を込めた。
何が 起こったんじゃ
いや、考えるな
引き揚げる
必ず 引き揚げる
あの子は 必ず このロープの先に
「ぬうううああああ!!!!」
シルバーは言葉にならない声をあげながら、ロープを船の縁にこすりつけながら引き上げた。
ビクビクと暴れるロープを痺れる腕で押さえつけ、死物狂いで曳いた。
しかし、ロープはびくともしない。