第24章 老人と船
「アルコ!! マジェスティと知り合いなのっ!? スッゲェー!!!」
顔をあげた少年の緑色の瞳は、まぶしいほどにキラキラと輝いていた。その勢いと天使性に、思わずアルコはたじろいだ。
「そこまで知り合いってほどじゃないけど…、この島まで一緒の船に乗ってきたんだよ」
「へぇ~、スゴい。いいなぁ~!
ホントスゴいんだよ、彼の右足は!! まさに“神”だよ、あのクロスは」
「“伝説級”だよな、あのフリーキックは」
少年とローは“男の会話”を楽しみ始めた。
嬉しそうな二人だが、その会話にアルコは少し違和感を持つ。
マジェスティが選手として活躍していたのは、自分とローが子供の頃のハズ。
現に、マジェスティを囲んでいるファンはほとんどが大人で、大人に連れられた子供達は「誰?」といった顔をしている。
それなのに この少年は、まるでさっきまで彼の試合を観ていたような興奮っぷり…。
まぁ、でもここはマジェスティの“祖国”だし、この国では知らない人はいない“英雄”みたいな人物なのかな。
調子に乗ったマジェスティがリフティングを披露し始め、増えていく人だかりに、ディンはオロオロしてしまっている。
そんなディンと目が合ったアルコは顔の前で手を合わせて謝罪を表し、顔をしかめて笑った。
声は届かない距離にいるディンは、アルコ達をみて手を挙げながら、独り言をつぶやいた。
「“ふたりきり”で食事か…。アルコさんとローさんは、本物に仲良しだな」