第24章 老人と船
店員が注文を取りに来た。
アルコは膝に買い物袋を抱えたまま、コーヒーとフルーツタルトを頼み、アイスクリームはないのかと尋ねた。店員が申し訳なさそうに「ない」と答えると、後であそこで買ってきてここで食べていいか、と広場の中央にあるストライプ柄の幌(ほろ)を出したワゴンを指して質問した。店員は笑顔で了承し、それにアルコは笑顔で礼を返した。
ローはその様子をぼんやりみていた。
カラフルな野菜や果物が紙袋の口からのぞいていて、その瑞々(みずみず)しさとアルコの笑顔を重ねた。
それを見ていただけで、イラつきは いつの間にか消え去っていた。
ローの視線に気づいたアルコは、問いかけるように笑って、空いている椅子の2つのうちの1つに、買い物袋を置いた。
その紙袋の上に、ローは脱いだ帽子を置いた。
「え。もう飲んでんの」
「悪ィか」
まだ十分に日は高い。
アルコはローが飲んでるのはビールだと気づいて、責めるような皮肉の言葉をかける。
「健康的だね」
「だろ」
ローは悪びれもせず瓶ビールを直接 口にあてて傾けた。
ここ数日の海賊らしくない健康的な生活を揶揄するように、二人は笑った。
行き交う人達は、女性だけでなく男性も振り返るようになった気がしたが
「船、がんばろうね。何とかなるといいけど。私も作業するからね!」
アルコは周りを気にする様子もなく、テーブルの上で拳を強く握った。
(あぁ、まぶしいな…)
パラソルでさえぎられた陽光の元でハツラツとしているアルコをみて、ローは目を細めた。
アルコのおかげで
おれは ずいぶん変わったかもしれない
こんな健康的な陸での生活も悪くないと思うなんて
立ち止まるつもりはねェが
こうしていると ずいぶん
安らぐ