第24章 老人と船
南の港の近くにある大きな街まで歩いた。
訪れたのは島の中央にある広場。
“あの不思議な少年”と初めて会った広場は今日も多くの人で賑わっている。
この島は広場から王宮までの通りを中心に栄え、周辺の区画には様々な店が建ち並んでいる。
二人は必要な買い出しを済ませた後、広場のカフェに後で来店することを約束してから荷物を預けた。
アルコは追加で食材や日用品を、ローは船の修理に必要な道具や材料を買い、広場のカフェで落ち合うことにした。
先に買い物を終えたローは、広場のカフェの深緑色のパラソルの下でビールを飲んでいた。
小ぶりで太めのビール瓶には、この広場を象徴する美術館らしき建物が描かれている。
相変わらず広場には観光客が多い。
長い脚を放り出して一番広場に近い席に座っているローは、行き交う人達の注目を浴びていた。
(騒がしい街だな…)
周囲から向けられる注目を知ってか知らずか、ローは帽子を目深にかぶり、少しイラついた様子でアルコを待っていた。
「ごめん、お待たせ」
帽子で視界を遮っていたので、声をかけられるまで気づかなかった。アルコが近づいて来るまでの様子を見逃したことが なんだか惜しいような気がして、ローは ますますイライラする。
紙袋を胸元に抱えたアルコは、店の入り口を通らずに直接広場からパラソルの下に来て、向かい合わせに座った。
「買いすぎだろ。そんなにあるなら一緒に行けばよかったか」
「大丈夫。
色々作ってみようと思って…確かに、ちょっと買いすぎたね」