第24章 老人と船
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翌日
ローはアルコの身体の具合を、丁寧に確認した。
「すげェ回復力だな、アルコの睡眠は」
治療の後は、すっかり良くなっているらしい。寝起きの身体のダルささえ取れれば、いつも“冬眠”の後は絶好調だ。診てもらわなくても、自分でもわかる。
『心と力を、コントロールしろ』
この“冬眠”は、ミホークの教えを自分なりに解釈し編み出した方法なのかもしれない。
とくに『心のコントロール』には、この方法は有効に思えるので、アルコ自身ローに心配をかけることを除けば、けっこう気に入っていた。
「スッキリ。心も、身体も」
伸びをしながら清々しい顔で言うが、ローの顔は少し曇った。
「何か……あったのか」
「………」
アルコは、ローへの気持ちをごまかしつつも、気になっていることを話し出した。
「ローは あの少年のことを、どう思う?」
ローは思い出すか、考え続けるような表情のままだ。
「……また、会ったのか」
「寝てる時にね、一度来てた。
色々痛いとこ突かれたり、優しいこと言われたり…」
「あの野郎…」
「いや。違う、違う」
ローの矛先が少年に向いてしまったので慌てて弁解した。
「彼のおかげで、わかったこととか気づけたことがあって…。それでちょっと心の整理が必要だったみたい。ごめんね、心配かけて」
ローは少し不満そうに「そうか」と言って、また考え始めた。
ローも自分のこの体質を、心配しつつも認めざるを得ない、という感じなようだ。
どうにか、この“冬眠状態”になる前に、事前にわかってさえいれば。
突然じゃなくて、「今から何日か寝るよー」って。そうすればローに心配かけることもないかもしれない。
その兆候やリズムさえ つかめれば。
それが今後の課題だ。