第24章 老人と船
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食事の片付けを終えると、シャワーを使わせてくれた。
家の中はどこもかしこも漁具のような道具だらけだった。
ロープ、銛、網、浮き、様々な形の金属のシャックルや杭・・・
それらを作るための、金属を溶かすような道具、鋳型や炉、金槌なども雑然と置かれている。
シルバーは、おもに漁具を作ることを生業としていたが、現在は物干し竿やロープなど生活用具を作っている、と食事の時に言っていた。
『わしの漁具は100年持つ! 壊れんから新しいのが売れんのじゃ!!』
そう言って豪快に笑っていたが、漁具が売れないことは、過去の事件によって 小型船が沖に出られなくなったことが関係しているような気もした。
彼には家族はおらず、ひとりで暮らしているようだった。
しかし、天涯孤独でずーっとひとりであったような雰囲気は、不思議と感じられない。
アルコに対して“女”を尊敬し、崇拝するような言動から、妻や娘に頭があがらないシルバーの姿が容易に想像できた。
しかし、写真立てには不自然なほどに一枚も写真ははめられていなかった。
家族はいないのか
実際はどうなのかは、聞くことはしなかった。
アルコがシャワーを終えると、ローとシルバーは片付いた食卓に座ってまだ酒を飲んでいた。
会話はそこまで弾(はず)んでいるようにはみえないが、居心地は悪くなさそうな二人に、アルコは安心する。
アルコもラム酒入りのコーヒーいただいた。