第24章 老人と船
「小僧…、なぜそれを」
「私達、さっきおじいさんが闘ってるのを、海岸から見ていたんです。
ローは強いから、力になれると思うんですが ───!!」
アルコは素早く竪琴から大剣を抜いて、横に構えた。
老人が再び銛を振り下ろしてきたのだ。
しかし、大剣と銛は衝突することはなかった。
アルコの身体はローと入れ替えられていたのだ。
アルコが自分の状況を把握した時には、銛を握った老人の腕は、老人の身体から切り離されて、夕暮れの砂浜にドサリと落ちた。
「ジジィ…、何のつもりだ」
「小僧、能力者か…。守りたいものは守れるようじゃな」
「うるせェ。刻むぞ」
「ロー! 違う、違う」
すぐにケンカモードになる二人を、アルコはどうにかなだめる。
しかし、老人は今のでローのことを認めたような表情をしていた。
「お嬢さんも、なかなか やりおる」
「…あの、話だけでも聞かせてもらえませんか」
「お前達、歳はいくつじゃ」
老人が言い放った突飛な質問に、ローとアルコは素直に年齢を答えた。その時、アルコは少年がいなくなっていたことに気づいた。
(あれ、いない。もう遅い時間だし、帰っちゃったのかな)
ローも少年がいないことと、日がずいぶん傾き始めていたことに同時に気づき、辺りを見渡す。
「とりあえず…もう日が暮れるし、出直す。
それか、泊めてくれ。金なら払う」
「私達、今朝 この島に来たばかりで。行くあてがないんです」
老人は突然 男らしい笑顔をみせてから、自分の腕を拾いあげ、夕陽を背にして家へ入っていった。
「………いいじゃろう。お嬢さんが飯を作ってくれるならな」