第24章 老人と船
「ローは、強そうだ」
少年がローの名前を呼んだことに少し驚いた。
さっきアルコが呼んだからか。
「強いよ、この人は」
少年目線にうずくまったアルコは誇らしげに言った。
いつでも冷静で、すごく強いんだよ
七武海にもなったんだよ
精神的にも強くて…いつも頼っちゃう
ほんと、ステキ
その締まった筋肉 ──── じゃなくて、中身もね
こう見えて、すごく優しいとことかね
子供相手にのろけるようなことも言えず、心の中でローへの想いを唱えた。
抱えた膝にひじをついて優しくほほえむアルコをみて、少年は複雑な顔をみせた。
ローはシャツを受け取っただけで羽織りもせずに、再び双眼鏡で海をみている。
老人と海王類との闘いは終わったようだ。
海王類は海へと姿を消していき、老人の船は岸へと方向転換し、戻っていった。
「あのじいさんは、何をしてるんだ? …迷惑どころか、海王類を追い払ってるんじゃねェか」
「迷惑って…この大波?」
三人は防波堤まで下がったにも関わらず、闘いの余波はまだ足元まで押し寄せている。
大潮の満潮にでも重なれば、防波堤を超える高波になりそうだ。
「それもある。あれのせいで、この辺りの土地の値段が下がったって。
でも、それだけじゃない」
緑色の瞳は、静かになった海をキリッと見つめていた。