第24章 老人と船
「ほら、見て」
ザワザワと毛羽立つような気配がして、船の前方の海が大きく盛り上がる。
「!!」
ザッ・・・バァァァ ────
派手なゼブラ柄の巨体の一部が姿をみせた。イモリのような、サンショウウオのような、ぬめりのある身体につぶらな瞳の海王類だった。
「────…!、………!!」
船の上の人物が何かを叫んでいるが、何を言っているかはココまでは届かない。
たわむれるように、ザッパン ザッパンと暴れ始めた海王類に対して、大きな銛(もり)のようなもので応戦している。
衝突の度に、海が大きく波打つ。
「なるほど…」
ローはいつの間にか小さな双眼鏡を取り出して、沖の船を見ていた。
「ロー」
船の上の老人は何かを叫びながら攻撃の手を緩めず、船についた砲台のようなものをあやつっていた。
「あるじゃねェか、いい船が」
「ロー!!」
「なんだよ」
ローはなぜか少し離れたところから呼びかけるアルコに、双眼鏡を構えたままで返事をした。
「波が来るよ」
ザブンと大波を頭からかぶったローを、アルコと少年は少し離れたところから笑った。
能力者であるローは、力が抜けたままの身体でズルズルと引き波にさらわれていく。
アルコは慌てて追いかけ引きずりあげたが、少年はその姿を指差してさらに大きな声で笑っていた。