第24章 老人と船
ローは決めかねていた。
行きたい島は『パンクハザード』
新世界の入り口付近にあるという情報を海軍本部で得た。しかし海軍本部からこの島へ送ってもらったのはいいが、目的地からすでにかなり離れてしまった。
この島から出ている連絡船は、どれも新世界を さらに先へ進んでしまうものばかり。
経験のない“新世界”の海を、小型船で長距離航海は可能だろうか。
多少の敵は二人で蹴散らせるとはいえ、航海士もいなければ 指針もない。
何とかして、ここから再び新世界の入り口付近へ、『パンクハザード』周辺の島まで行ける方法はないか。
アルコの治療のリミットも、計りかねる。高熱を出して、動けなくなってしまってからでは遅い。
何とかして ────
「船が欲しいの?」
二人は同時にビクリとして、声のした方向を振り返る。
近づかれた気配もなく、金髪の少年が二人のかたわらに立っていた。
広場にいた、金髪で翠眼の、不思議な少年。
「あそこ」
「「!!」」
少年が指した先を見ると、きらめく海に小さな船が浮かんでいた。
「海賊なんでしょ? アレを盗んでよ」
「盗んで……って」
物騒なことを言い出した少年に戸惑うが、その事情について少年は聞いてもいないのに話し始めた。
「この島で有名な、迷惑な じいさんだよ。
10年…ちょっと前から、ずーっとある海王類と闘ってる」
「10年…も前から…?!」
──── 10年…ちょっと前っていえば
(コラさんが死んだときくらいか)
(お母さんが死んだときくらいか)
ローとアルコは、口には出さずにその頃の自分を思い出していた。
そして少年をみて、同じことを考えていた。
((そう言えば、この子供も
ちょうどその時の自分くらいの年齢だな))