第24章 老人と船
*
南にある大きな港に戻ってきた。朝、到着した時より、停泊している帆船の数が多くなっていて、港はにぎわっていた。
乗船口で行き先を確認したが、ローはどの行き先も気に入らなかったようだ。
アルコの頭に『海軍に頼る』という方法がよぎったが、口には出さなかった。
七武海とはいえ“海賊”としての誇りがあるのだろう。ミホークも海軍に借りを作ることを極端に嫌っていた。すでにここまで来るのに世話になっているし、これ以上海軍と関わりあいたくないハズだ。
誇り高く、計算高い
冷酷そうにみえて、情に厚い
ミホークとローは 似たところがあるような気がする。きっと二人は、海軍とあえて距離をとっているのだろう。
『情が移らず、利用できる距離』を。
自分の『立場』と『性格』を、客観的に分析できる二人だから。
結局 船には乗らず 券も買わず ふらふらと歩みを進め、二人は南の港を通りすぎた海岸にたどり着いた。
横目に小さく港が見えるが、ここまで来ると いつの間にか人通りはなくなっていた。
もう夕暮れが近い。
まだかろうじて青い空に浮かぶ太陽によって、海面はは遠くまでキラキラと反射している。
アルコは ため息にならないように、大きく息を吸ってから少しずつ吐いた。
伸びをした腕をローにとらえられる。
「腕、みせろ」
(急だなー…。
でも、そろそろ治療のタイミングか)
アルコは袖をめくって白いアザのある腕をみせた。
「熱、ないか。痛みは?」
今度はひたいをぺちぺちと触れてくる。
「大丈夫だよ」
「次、腹」
遠慮なく腰をペラリとめくられる。
「ちょっと、こんなとこで…」
海岸には誰もいないし、身体を心配してくれているとは言え、急に肌をさらされることに驚きの声をあげた。
「そうだな、宿探すか」
「でも、お金が心配だね。ホテルも高そうだよ」
「上流階級が多そうなのに、スラムも見当たらねェとは…。珍しいな」
「政治がいいのかな」
アルコは、王子と王妃を思い出してフッと笑った。王族だというのに、あまり偉そうなところがない二人だった。
フレバンスは ──── 違ったよね
「船、乗らないの? 次の島で小型船探して戻ればいいじゃない」
「………」