第5章 in the dark
『こんな身体』じゃ
さぞ ご無沙汰なんだろ
シーツの中で目を閉じていると、男に言われた言葉が頭に響いた。
先ほど まさぐられた場所の痛みが取れ、じんわりしてくる。
アルコは夢うつつで、最後の情事を想い出す。
あれは『情事』なんかじゃない ────
『何の意味もない』
ただの 獣の交尾みたいなセックス
いや、もっと暴力的で下品で卑猥な、Fから始まる言葉のほうが ふさわしい。
『あの日』の出来事は、彼らの船を降りることを決めた一因となった。
~~ 数ヶ月前・元ドラム王国 ~~
高熱に倒れたナミ。医者を探しにこの島を訪れた。医者探しに戦力は不要、むしろ警戒されかねないという理由でアルコとゾロは船番としてゴーイング・メリー号に残った。
シ ン・・・
皆の声が聞こえなくなるほど遠くなり、急に静まり返る二人きりの甲板。
雪だけが降りしきる中、沈黙を破ったのは彼のほうだった。
「しかし クソ寒ィな…
一緒に寝るか」
「………?!!」
「…なんていう顔 してんだよ」
彼は歯を見せてニカリと笑う。
「いつかの 仕返しだ」
── ああ、あれか
グランドラインに入る直前
「かわいい人」
ローグタウンで、彼をからかったことを思い出す。
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その後、寒中水泳をするとアホなことを言い出したゾロ。止めたが聞かず、上がってこなくなったのを心配して海に飛び込む。いつのまにか競泳のようになりに負けじと追いかけるが、川をのぼるうちに森に迷いこむ。
二人は凍える寸前、雪をかわせるほど大きな岩の下に潜り込む。
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