第5章 in the dark
かがんだ体勢で岩をくぐると、入り口こそ狭いが、中はギリギリ立ち上がれるほどの広さがあった。
崖だった部分に平たい大きな岩が落ちたのだろう。ちょうど岩が屋根のようになっており、雪を凌ぐことができそうだ。
「寒い…!!」
「寒ィな…。おれは脱ぐぞ。一回乾かさねェと、死ぬ」
「………」
── ズルい。
お前はもともと ほぼ裸じゃないか。
コートや上着を脱ぎ捨て、海に飛び込んだのは とっさのことだったので、アルコも薄着ではあった。しかし、肌は晒していない。
Tシャツにアームグローブ、ショートパンツに厚手のタイツ。
すべてずぶ濡れで、こおって固くなってきている。
ほんっっとに寒い。
死ぬかも。
「どうせ暗くて なんも見えねェよ」
夜の闇に加えて、入り口になっていた岩の隙間にも雪が積もってきている。
目が慣れるどころか、どんどん闇に包まれていき、目を開けているのか閉じているのかもわからなくなってくる。
── そっか、大丈夫か。
アルコも着ているものをすべて脱ぎ、壁伝いに彼のいるであろう方向から逆の隅に行って、服を絞りあげた。
ギュッ、
パタパタパタ…
パン、…パン、
ギュッ
服の水分を絞り、地面に水がしたたる音。
闇と静寂が空間を包む。
「…………はぁ」
アルコが、立ち上がって冷たい手を包み、小さく息を吐いた瞬間、ゾロから発する空気が変わったのを感じる。
彼が切り込む時のクセと同じ、斜め下からの踏み込み。
ヤバ ────