第24章 老人と船
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「小型の船をくれ。500万ベリーくらいで」
ローが造船所の人物にそう言うと、それを聞いた作業員達は一斉に笑い出した。
「チッ………なんなんだ」
鋭い眼光で不穏な殺気を漂わせ始めたので、アルコも腹が立つのを抑えてローをなだめた。
「何がおかしいんですか? 小さい船、無いんですか?」
「あぁ、あんた達、ここら辺の海を知らねぇんだな」
設計士だろうか。白いシャツを着た知性的な中年の男が出てきて、作業員達に仕事に戻るよう促した。
「ここら辺は海王類が多くてね。とくに“あの事件”以来は小型の船で海へ出ようなんてバカはいねぇよ」
「いるじゃねぇか、迷惑なのが1人」、と作業員のひとりが冷やかすように言うが、設計士の男はうるせぇと言ってそれを制した。
この島の海王類の事件と言えばディンが原因を解明したという『ストランディング事件』のことだろうか。ローとアルコは、同時にそのことを思ったが、質問する間もなく男の話は続いた。
「っつー訳で、ウチは大型船専門だ。まぁ…ウチだけじゃなくて、この島には小さい船を造るところはねぇな」
男に釣られて、製作中の船を見上げた。
大きくて美しい帆船だ。
シャープな流線型は、自分達がニューマリンフォードからこの島まで乗ってきた帆船を思わせた。あそこまでは大型ではないが、十分に大きい。
「これで、いくらだ」
「まぁ………3億ってとこだな」
「「3億……」」
高っーー!
街の雰囲気からして、高級思考な感じはしていたが、しかしなかなか…。