第5章 in the dark
男は、デスクの横の扉を開ける。
入ってきたときにくぐったカマボコ型の扉ではなく、すりガラスの埋め込まれた横長に四角い扉。
隣の部屋に続く扉のようだ。
「ここを使って適当に休め。どうせお前は、この船からは逃げられない」
開けられた扉にもたれて、男は言う。
部屋に踏み込むと、そこは船長室より一回り広い空間。
部屋の雰囲気は、処置室または入院室といった感じで、2つの白い大きなベッドがあり、医療器具や薬などが並んだ棚や作業机には雑然と物が置かれている。
── ありがたい。
張りつめっぱなしの1日。とにかく疲れた。
2つの部屋を仕切るドアを開け放したまま、出ていこうとする男に声をかける。
「あの、
ありがとう」
「何の礼だ」
「その、酷いことを、しないでくれて」
それまで真剣な顔をしていた男が、首をかしげてニヤリとした。
男はアルコに早足で歩み寄り、白いベッドまで追い詰め肩を突き飛ばして押し倒し、アルコに覆いかぶさった。
「!!」
「そうだな、こんな身体じゃ、さぞご無沙汰なんだろ。抱いてやろうか」
その言葉に かぁっと顔に血が昇ったのを感じる。
男の手がドレスの上から ぐにっ と秘所を手で押さえる。安物のドレスと下着では布が薄すぎて、簡単にクリトリスを探し当てられて、恥肉ごと指で左右に転がされる。
「っ!!!」
いきなりの強い刺激と痛みに、声をあげないことがやっとだった。
「ああ、そういや 口でしてくれるん ──」
コンコン
「キャプテン、いいスか」
クルーらしき誰かが、隣の船長室のドアをノックした。
「チッ、よくねェよ」
言葉とは反対に、男の身体はアルコからすばやく離れた。
「妙な考えを起こすなよ。この扉は開けておけ」