第23章 応酬
コンコンコン!
扉がノックされた音に侍女が反応して開けると、ディンが水の入ったバケツを持ってやってきた。
「オスでしたか、メスでしたか?」
「……………さぁ」
原因となった“ナントカ”のことを言っているのだろうか。
侍女は無惨な姿になった床の“ナントカ”に目配せするとディンは「あらら」と言って、バケツを傍らに置いてからソレに顔を近づけた。
嗅ぐんか、というほどに近づいた顔に、アルコは思わず ひきつった笑顔を向ける。
その行為をみたローは、何かを察して刀を再び構えた。
「ああ、卵か ───“ROOM”」
「?」
ローが再び能力を発動し、再び王妃の身体を適当に切り刻み始める。
「“スキャン”」
ディンは訳もわからずローの行いを見ていた。
「見たところ…ねェな。オスか」
処置が終わったことを告げたとたんに、興奮した様子で語り始めた。
「スっ……スゴいっ!! 卵まで、こんな楽々とわかるんですかっ……!?」
「楽々じゃねェよ」
短時間で集中が必要な能力を使って、少し疲れたのだろう。ローはそう言って、手を洗ってから空いているベッドの方に座った。
「見落としの可能性もある。あとはそっちで念のため“処置”しといてくれ」
「わかりましたっ!」
切り刻まれた王妃は元に戻された後、王子と侍女によって船内の自室に連れていかれた。
ディンは床に踏み潰された“ナントカ”をピンセットと紙で汁まで残さずトレイに入れ、バケツの水とともに持って去っていった。