第23章 応酬
(でも確か…)
ミホークが教えてくれたことを思い出す。
「『青いオスだけは美味い』…んじゃなかったっけ? こんだけいれば、オスも見つかるかも」
ディンが興味深そうに眼鏡を輝かせる。
「巨大ハーレムを作って生息してるらしいですから、ほとんどがメスです。それはもう、99.99%メスです。…そもそも、今まででオスが見つかった記録すら…」
「いたぞ ──── “シャンブルズ”」
「わぁっ」
「おお!!」
「まぁ~」
「ほ~ぉ」
ローが巨大な青いエビの触角をつかんで掲げていた。ビチビチと宙に浮いたまま身体を曲げたエビを、ぽいっとアルコの足元に投げ置くと、一斉に視線が集まる。
ディンは眼鏡を押さえながらハァハァと顔を近づけ、今に鼻血でも吹きそうな興奮したままの勢いで脇に抱えていた図鑑をめくった。
「コ、コレはっ……! な、なんて貴重なっ! 王子! 祖国に持ちかえり『大A博物館』へ……」
「あら、ホント 美味しい」
「そうか? そんなに、変わらないぞ」
「………!!!!
お、王妃っ!? 王子っ………!」
生のままバリバリと殻を剥いてすでに食べ始めていた二人に、ディンは絶望的な目を向けた。
「ははっ………」
アルコは、落ちている残りのマズくて赤いメスのエビ達を足で払って海に戻した。