第23章 応酬
パチパチパチ・・・
「スゴいわ! 強いのね。やっぱり、二人とも いいお尻してるだけある」
「……ど、どうも」
「王子、王妃! お二人だけでも船室にお入りください」
マジェスティの提案に、従事者達もウンウンとうなずくが、王妃は聞く耳を持たない。
「イヤよ。大丈夫。かわいいお尻ちゃんが、守ってくれるから」
「また来るぞ、……上からだ」
(──── まただ)
ローの合図、アルコが耳に再び違和感を感じたと同時に、海面から次々に何かが飛び上がる。直後、それらは甲板にボタボタと降り注いだ。
アルコが身軽なジャンプで王子達の盾になるように横に構えた刀身にあたったのは、アルコの大剣と同じくらいの大きさの巨大なエビだった。
「げっ…、でかっ!」
「ダンプエビですっ」
降ってくる重量級のエビを叩いてはじく。甲板に叩きつけられた巨大エビは、ガッツンガッツンと床板の上を暴れ回っている。
「大きいエビ…っ! これ、食べられるのかしら」
王妃が聞いたので、王子とアルコは同時に答えた。
「ああ、これは“美味しい”ぞ」
「ああ、これは“マズい”ですよ」
「「…………」」
お互い嫌そうな顔を向けあった王子とアルコに、博識のディンが解説を入れる。
「アルコさん。ぼく達の“祖国”ではダンプエビは名物料理になるんですよ」
「美味しくなるの? パサッパサで大味で、マッズいでしょ、コレ」
確かに、見た目は美味しそうなエビだ。
アルコは昔、ミホークがマズいからやめとけと言ったのがどうしても信じられず、一度食べてみたことがあった。まぁ食べられないことはないが、パサパサで泥のような味がしたハズだ。
重くてでかいエビをガツン、ガツンと避けながら言うとマジェスティが言いにくそうにつぶやいた。
「美味しくは………ならない」
「「あぁ…そう」」
ローとアルコは察した。
グレート・鰤(ブリ)テン王国は歴史と伝統のある王国だが、“メシマズ”の国としても有名だ。