第23章 応酬
「マジェスティ大佐! 王子がお呼びです」
海兵に声をかけられ、「ヘイヘイ」とダルそうに返事をしながらボールを転がしながら去っていく。その背中にローは「何かあったら呼べ」と声をかけた。マジェスティは返事の代わりに、身長より高くボールを蹴りあげて、上げた手でキャッチした。
「ふ~……ん」
再び二人きりになった船尾側の甲板で、アルコはニヤついた笑みを向けた。
「なんだよ。
シーズン中は毎週末、やってただろ“グランドラインカップ”の中継。まさか見てねェのか」
「父親いなかったしね。母と祖母と…女だけだったから」
そういえば年に一度、ワーワーと街頭が騒がしくなる時期があったな。その時期の男の子達は、いつ見てもボール蹴っ飛ばしてた。もしかして、ローもその中にいたんだったりして。
──── 懐かしいな
「ああ、なるほど」
そういえば、妹や母親は興味なさそうだったな。妹なんかは見たい映像が見られないことに文句言ってたんだったか。
──── 懐かしいな
同じ故郷の同じ時代に想いを馳せながらも、決して思い出が交わることのない二人。
船の最後部にある少し高くなったデッキの下には、小さな扉がついている。二人は海に背を向け、航海中 滞在するようにあてがわれたその部屋の扉に手をかけた。