第23章 応酬
口をポカンとしたままボールを男に返そうとすると、脚に落とせと言うように差し出してきた。
ポロリとボールを落とした手をとらえられ、ひざまづき丁寧に自己紹介された。どこそこのチームで何とかとか、祖国でナイトの称号がどうとか、再びよく理解できないことを、聞いてもいないのにまくし立ててくる。
長い話が終わったらしいタイミングでアルコが名乗ると、手の甲にキスをされた。
変わった男。
めんどくさいんだか、礼儀正しいんだか。
「コイツじゃなくて、“祖国”の王妃の機嫌でも取れ」
ローはアルコの肩を引き寄せ、遠く船首側にいる王族の一行に目配せした。
“祖国”……ということは。
マジェスティはあの王族が治めるグレート・鰤(ブリ)テン王国の出身らしい。それでこの任務に就いているのか。
しかしマジェスティは露骨に嫌そうな顔をした。
「イヤ、“あの女”は、王子とは再婚で、自国ではB級女優やってたらしいぜ。あれで王妃がつとまるんかね」
「………知らないし、ますます興味ないよ」
祖国の王妃をそんな風に言っていいんかい。
愛国主義者かと思ったのに。
いや、愛国主義者だからこその発言かもしれない。