第23章 応酬
「…“あれから”ずいぶん経ったし、忘れられた病気ではあるからな。知らねェから、無反応ってこともある。
おれは子供の頃、散々な目に合ってきたから…基本的には隠しとけ。トラブルの元だ」
「そう……なのかな」
歯切れの悪い返事になった。
アルコのあきらめの中には少しの期待が残っていて、ローの言うことに疑いを持った。
でも、大丈夫かもしれないよ。
皆、ひどいこと言わないかもしれないよ。
「それに あの店長は…フツーじゃねェだろ」
「ははっ、確かに。スゴい人だったね。元気もらった」
元気と、励ましと、ステキな言葉も。
「いずれ治るんだから、穏便にしとけ。そうでないと、アルコの『心』は耐えられねェよ」
ローのその言葉を聞いて、今まで よっぽどひどいこと言われてきたんだな、と察する。
そして、ローからみた自分の今の心の弱さでは、きっとソレに耐えられないのだ。
アルコは納得して、それ以上反論しなかった。
でも、最近よく思うのは
『本当に大切なこと』は
アザを隠すことじゃなくて
『治ったら』どうするかじゃなくて ────
『治っていない』このままの自分を
受け入れてくれた、ロー
『仲間』と言ってくれた、クルーのみんな
それが『本当に大切なこと』なんじゃないかって
そう考えると、この珀鉛病の白いアザは“試金石”みたいなものだ。
海賊が横行し、歪んだ歴史の上に 善と悪が混沌と存在するこの世界・この時代では、よくも悪くもすべてが自己責任。
自分の基準、自分の価値観で世界をみる目が必要だ。
“このアザ”を持っているからこそ、初めてみることができた『真実』
だって
“このアザ”があったから
“このアザ”のおかげで
あなたの歪んだ表情や言動の奥にある
優しさや温かさに気づくことができたんだよ