第23章 応酬
「マジェスティ大佐! 異常ありませんっ、出航しますっ!」
「だなァ~。港には異常ねェよな~。
船上の方がピリピリしてんじゃねェか?」
大佐と呼ばれた金髪を七三になでつけた男は、足で器用にボールを操りながら、だらだらした言い方と態度で少し離れた王族二人を見やって言った。
「た、大佐っ!!?」
周囲の海兵が王族に聞かれやしまいかと、慌てている。
船尾側のさらに離れたところからローとアルコはその男を見ていた。
ギリギリ片手で握れるくらいの大きさの白いボールを足の甲に乗せたり、はじいては膝や頭に乗せたりしている。
ボールからはボスッと重そうな音がしている。彼の武器なのかもしれない。
(海軍にも、本当にいろんな人がいるのね)
不真面目な態度からは、どこか余裕も感じられる。その余裕がどこから来るのかはアルコにはわからなかったが、そんな部類の人間は嫌いではなかった。
ローもボールを操るその男にチラチラと目線を向けていた。
まあ、でもローは不真面目な人間は嫌いそうだな…
大丈夫かな。トラブルなければいいけど。
ローとアルコは今回、海軍側の協力者として乗船している。
ローはよく考えているようにみえて、意外と行き当たりばったりで、おおざっぱなところがあることを理解してきたアルコは、いざとなったら自分が穏便に取り持たなければ、と考えていた。