第22章 Riot Grrrls
「いくぞ」
アルコの言う“この人”が現れた。たしぎはその人物に目をむいた。
王下 七武海 海賊
“死の外科医” トラファルガー・ロー
「なっ…っ?! 七武…海、
やっぱり海賊っ!?! あなたっ、私をバカにして…っ!!」
たしぎはとっさに立ちあがり、刀を握りしめた。斬りかかるつもりはなかったが、怒りと恥ずかしさが入り交じったこらえきれない感情を、刀を握ることにぶつけたのだった。
アルコはたしぎの懐(ふところ)までズイッと入り込み、その手を優しく押さえ、今まで見せなかった真剣な顔でつぶやいた。
「バカにしてない。
それぞれの立場で、女が立ちあがらないとって話だよ。
そうすれば、世界は変わる。
そうしないと、世界は変わらない。
そうすれば……いずれ世界は、“女”のものでしょ」
刀頭を握ったたしぎの手をぽんぽん、と叩いた。
それで、たしぎはへなへなと力を抜かれた。
「何の話だ」
「“男”には関係ない」
アルコはぴょんとローの元に歩み寄る。ローはたしぎを一瞥してから、諌めるように言った。
「海兵じゃねェか。あんまり馴れ合うなよ」
「いいでしょ。“女同士の話”なんだから」
「ハァー…、借りは作るなよ」
アルコは「ああ」と言って小銭を取り出し、たしぎに握らせた。
「コーヒー代。飲みたかったけど、あきらめてたから。どうも ありがとう」
たしぎは呆然と立ちすくみ、二人の背中を見ていた。
「…なんだ、『あきらめた』って」
「なんでもない。
えーっと、“男”には関係ない」
アルコはこれ以上踏み込まれないように、強引に会話を終わらせた。
腰に提げていたローの帽子をかぶって意味ありげに笑うと、ローはもうひとつため息をついて歩き出した。