第22章 Riot Grrrls
「……………」
沈黙をさえぎったのは、予想外の大きな笑い声だった。
「ぶわっはっはっ!!
トラファルガー・ロー、お前のことは聞いとる。
そっちも なかなか威勢のいい娘じゃ」
ヒナの後ろの建物内から現れたのは、海軍中将 モンキー・D・ガープ。
豪快な笑い声を、老齢さを感じさせない肉体から響かせている。
「ガープ君……」
「ヒナ、勘弁しちゃれ。
今、偉いヤツは出払っとる。
ココにおるんは、わしぐらいじゃから…“男同士の話”くらいなら、いいじゃろう」
ガープはヒナにおかえり、と言って饅頭を握らせた。ガープが片手で掴んでいた饅頭は、ヒナの両手からこぼれ落ちそうなほどの量だった。
ローとアルコにも差し出してきたが、ローは表情を変えずに首を振った。
「お前には、孫の分の『借り』もあるしな」
ガープはローを導くように、海軍本部へくるりと踵(きびす)を返し、そう小さくつぶやいた。
ローはアゴ髭に手をあてて少し考えてから、帽子を脱いでアルコにかぶせた。
「ちょっと待ってろ。その辺で。
あまりウロウロするなよ」
「はーい」
脱帽したのは『伝説の海兵』とも言われる 未だ現役のこの男に敬意をはらっているのか。
アルコに帽子を預けることで、信頼を表し安心を与えようとしているためか。
キョロキョロとあたりを見回したアルコは“MARINE COFFEE”と小さな看板を掲げた場所に目を止めた。海軍本部の建物の西の端に併設されたテイクアウトがメインのコーヒーショップのようだ。
アルコはソコを指差して、ローににっこりほほえむ。
ローは預けた帽子の上から、頭を軽く叩くようにポンッと手をおいてから、ガープに続いて海軍本部の建物へと入っていった。