第22章 Riot Grrrls
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客車の固い背もたれに身を預けて眠るアルコの頭を、ローは自分の膝の上に乗せて、マントを被せ直した。
コレで、外からは見られまい
何かあったとしても
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ヒナは揺れる馬車の上でその様子を感じとり、振り返らずに後ろに気を向けた。
ずいぶん大事そうにしてるのね
ヒナ………
ヒナは自分の気持ちを表す言葉を探したが、的確な単語が出てこなかった。
──── いつものことじゃない
知らされてないなんて、いつものことじゃない
『王下 七武海の海賊、トラファルガー・ローがレッドラインを越えるのに同行せよ』
ヒナかそう命じられたのは、昨日のことだった。
海賊ではあるが、立場は政府側にあるため、世界政府は通行の許可を出した。
しかし 政府側とはいえ、王下七武海も所詮、海賊。
『“海賊”はどこまでいこうと“海賊”』
同僚がことあるごとに繰り返すその言葉に、ヒナは激しく同意した。くせ者揃いの七武海。
上層部も「世界政府の許可が出たから勝手に渡れ」という訳にもいかないのだろう。
もし、天竜人と衝突が起これば、大問題に発展しかねない。それを防ぐための任務だ。
もし、衝突が起こったら ────
トラファルガー・ローをとらえて排除する。
政府や海軍は、高貴なる天竜人の盾となり、矛(ほこ)とならなければならない。
それが世界の常識
それが海軍の理念
「チッ………」
ヒナは小さく舌打ちをしてタバコを取り出した。