第21章 in the silence
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「“大きなお荷物”や“物騒なもの”は、こちらでお預かりいたします」
「……………」
「………ハイ」
ローの抱える“物騒なもの”と、アルコの背負っている“大きくて 実は物騒なもの”を預けた。
ドレスのスカートの裾を上げ、身をかがめるようにして、シャボン玉のゴンドラに乗り込む。
「それでは、ロマンチックな一時を。いってらっしゃいませ~」
ポチャン
シャボン玉の膜が閉じられた
うわ
頭の中が
急に静か
ライブの高揚感とパークの喧騒に、すっかり身をおいていた。
急に外から切り離された観覧車のゴンドラ内は、静寂と止まった空気に包まれていた。
アルコは大きく息を吸って、ゆっくりと吐いた。その空気の振動で、目の前のシャボン玉の膜が揺れながら色を変える。
アルコは意識して 沈黙を作った。
ローはきっと他の観客と違って、ライブを静かに観ていたんだろう。
どんな時も冷静な人だから。
あのライブの騒がしさの中ですら、静かにたたずんでいる様子が想像に たやすい。
ローはきっと
音楽が あまり好きじゃないんだろう
とくに今日みたいなうるさい音楽は
静けさに寄り添うように努力した。
そうしないと、ライブ後の高揚感を持ち込んでしまいそうで。
うるさがられてしまいそうで。