第21章 in the silence
「泊まってるホテル、みえるかな」
意識して、気をつけて
静かに、ゆっくりと話す。
3ヵ月近く滞在しているホテルから毎日みているシャボン玉の観覧車。
こちらから見ると、似たような四角い建物ばかりで、泊まっているホテルを見つけることは難しそうだ。
あの辺かな、とシャボン玉に触れてのぞきこんでいると、背中がゾクリとしてから、冷たいものが首に触れた。
鎖骨に手を触れると、さわり馴染みのある感覚。
ローが素肌の背中に優しく触れてから、ハートネックレスを首にあてたのだった。
「よかった。持ってたんだ。
潜水艦に置きっぱなしかと思って………心配した」
宝石取引会場に潜入した時、ローに預かってもらっていたハートのネックレス。
返してもらうタイミングをすっかり逃してしまっていた。
「心配なら、言えよ」
ナミにもらった大事なネックレス。
その後、ローにもらった赤い珊瑚(さんご)をはめこんで、さらに大事なものになった。
そっか
言っていいのか
心配なことは、言ったほうがいいのか
「じゃあ、ひとつだけ。言う」
「………?」
「勇気出して、聞く」
アルコはすでに涙声になっていた。ローのほうを振り返らず、観覧車の外を眺めているアルコは、すでに涙を流しているのかもしれない。
ローはアルコの言葉を待った。
シャボン玉のゴンドラはゆっくりと高くなる。
シャボンディパークの全貌を見渡せるほどの高さになった時、アルコはようやく言葉を続けた。
「………………今日の演奏、どうだった」