第21章 in the silence
「先生っ!」
人混みの喧騒の中、二人の歩みを止めさせたのは、いつか聞いた黄色い声だった。
以前、通りでローに声をかけてきた女の子だ。
今日は同じくらいの年の女の子達3人と一緒のようで、4人とも年齢よりは少し背伸びした化粧をしている。首にかけたお揃いのタオルやその格好から、彼女達はソウルキングのライブを観ていたとわかった。
女の子は偶然会えたことを嬉しそうに「ライブ見に来たんですかぁ」「デートですかぁ」などと矢継ぎ早に言っているが、ローは明らかにテキトーに返事している。
そのうち、彼女の後ろにいた女の子のうちの1人が大きな声をあげた。
アルコがライブに出演していた人だとわかり、きゃーきゃーと黄色い声がアルコにかかった。ローに執着してそうな女の子まで、アルコにキラキラした眼差しを向けてくる。
女の子達に握手を求められ、スゴくよかった、感動した、などと言われた。
(こないだは、敵意むき出しって感じだったのにね)
アルコは笑顔で応じながら、“そんな若さもかわいいもんだな”と思っていた。