第21章 in the silence
ライブの興奮と熱気が冷めやらぬ人達が行き交うシャボンディパーク。
観覧車やコースター、パーク内の建物がライトアップされていた。
島中に漂うシャボン玉。
シャボンディパーク内も例外ではなく、むしろ島内のどこよりも漂うシャボン玉は存在感を増していた。パーク内のイルミネーションを反射して、どこもかしこも虹色に輝いているからか。
観覧車は、パークのシンボルとしてだけでなく、人々にとって…アルコにとっても特別な存在だ。
ホテルの窓からは向かいの建物に隠れて、その全貌は見ることができないが、それでもその部分的な観覧車を、毎日飽きるほど見ていた。朝でも昼でも夜でも、どんなに無意識に ぼんやりと窓の外を見ていても、最終的にはソコに視線は吸い寄せられた。
リハーサルで初めてパークを訪れた時、観覧車を全貌を間近に見上げることができて、アルコは人知れず感嘆の声をあげた。
しかし、リハーサルの時間スケジュールはタイトで、パークを楽しむことはできなかった。なので、こんな風にパーク内をゆっくりと歩くのは今夜が初めてだ。
しかも、ローと二人で。
まぁ、でも歩いているだけ
ローは、遊園地とか興味なさそうだしな
それでも、こうやって演奏を見に来てくれただけで
パーク内を、ただ 一緒に歩いているだけで
十分 ────
もうすぐこの島を出るんだし
もう少しだけ
このキラキラした空気の中で楽しい雰囲気を味わっていたいかも
ローが、いつもより歩みを遅めているような気がする。
ローも同じ気持ちなのか。それとも、アルコの気持ちを察してそうしてくれているのか。
並んで歩いていると、隣の高いところから優しい眼差しを向けられているような気もしたが、何だか恥ずかしいので気づかないふりをする。
とくに言葉を交わすこともなく
目を合わせることもなく
ライブの後のわんわんと反響音の残った頭と耳のままで
ただ、二人で歩いた。