第21章 in the silence
ドレスショップの店長を通じて、大きな仕事の依頼が来たのが2週間前。
店に出向くと、最初に紹介してもらったイベントコーディネーターの男も待ち構えていた。
話を聞くと、今、猛プッシュ中の“ソウルキング”のライブを盛り上げる人員を探しているらしい。
アルコの演奏の評判を 紹介先から聞いて、ぜひ一緒にやってみないかという話だった。
2日間の打ち合わせとリハーサルをして、今夜ついに本番を迎える。
「怪しくねェのか、あの骨みたいなヤツは」
「怪しくはないよ。
パンツ見せろとは言われたけど」
ローは飲んでいたコーヒーを軽く吹き出す。咳ばらいをしてから、にらみながら言った。
「……なんだそれ。十分 怪しいじゃねェか」
「でも断ったら、すぐ諦めたよ」
「………なんなんだ」
ローはアルコのことをまだ にらんでいる。
私にそんなに怒んないでよ。
ローは少し考える素振りをみせてから、珍しいことを言い出した。
「おれも行く。
どうにか入れるようにしておいてくれ。
それと………………」
「?」
ローは真剣な顔を作って、コーヒーカップをテーブルに置いた。
「そろそろ、仕事を切り上げろ」
シャボンディ諸島で治療と資金集めの生活を始めてもうすぐ3ヶ月になる。
その言葉は、レッドラインを越える準備ができたことを意味していた。
「了解、“キャプテン”」