第21章 in the silence
~ 2ヵ月後 ~
「今夜は結構、大きいイベントなんだよ」
いつもの朝食。
ローはご飯と味噌汁の、アルコはパンに卵とサラダの、それぞれの朝食を一緒に食べ終わった。
ローはサーバーに残っていたコーヒーでは足りなかったのか、自分でコーヒーを淹れて もう一度ソファに座った。
「ああ、知ってる。ずいぶんビラを見かけるな」
ローはコーヒーをすすりながら、骨みたいなヤツの絵が描いてあるチラシを思い出していた。
2回連続で珀鉛病の治療をしたせいか、アルコは一度熱をだした。熱が下がってから さらに1週間おいて、無理をしないことを条件にローは ようやく出歩いてもよい許可を出した。
アルコはひとりで、ドレスを作ってもらった店に出向いた。
宝石取引に潜入した後、店に戻ってドレスを脱いで、そのままクリーニングを頼んでいた。
そのためドレスは、潜水艦ではなくシャボンディ諸島のこの店に置きっぱなしだった。
おかげで、またこのドレスを使って、イベントやフォーマルな場で演奏するような仕事を探すことができた。
ドレスショップの店長に相談すると、顔の広い店長はすぐにイベントのコーディネーターをしている男を紹介してくれた。トントン拍子にいくつかのライブの手伝いが決まった。
そこからは仕事が仕事を呼んだ。
トークを挟むようなカジュアルなライブでは、演奏の合間や終わりに「仕事とお金が欲しいから、またどこでも呼んで」と言えば、その後どこからか声をかけてもらえるようになった。
仕事のない日は、シャッキーの店で食事をしたり演奏したりした。
シャッキーからは演奏料をもらわなかったが、その代わり食事をごちそうしてもらえるようになった。
タダで食えるようになった、とローも言っていた。
時々、ローとシャッキーの店で落ち合って、一緒に食事をしてホテルに帰ることもあった。