第21章 in the silence
「ありがとう」
治療が終わったようだったので、アルコは久しぶりにローに礼を言った。
そして『仕上げのキス』を待たずに、身体を起こしてベッドに座った。
ローは少し驚いてから、何か悪いことを思いついた時の顔をみせた。
(なに………?)
何か皮肉を言われるんだろうか。
それとも、せっかく我慢していた礼を言ったことを怒られるだろうか。
沈黙の続く部屋に、ローの予想外の提案が降ってきた。
「礼、もらっていいか。
最初の時みたいに」
「!」
最初の時 ────────
初めて珀鉛病の治療をしてもらった時
アルコが、何か“健全な”礼をしたい、と言い出した時のことだ。竪琴の演奏を披露した後、ローはアルコの唇を奪った。触れるだけの、優しいキス。
アルコは、声を出さずにうなずき、目を閉じた。
「なぜ泣くんだ」
ローの唇が優しく離れた後で、そう問いかけられた。
「なんでだろ………なんか、嬉しくて」
伝わってくる
いつしか身体の関係が先走ってしまっていた 私達
もう一度
やり直そうとしてくれているのが
伝わってくる