第20章 宝物
「おれ達は、何か買うか」
確かに商談ならば、色々と話が聞けるかもしれない。
アルコはペンギン達と反対方向へ歩いていこうとするローを追いかけるが、ふと目の前にあった『あるもの』に目が止まった。
近くのテーブルに並べられていたピンク色の小さな粒。ピンクに紫や白の混ざったマーブル模様のそれは、角のないアーモンドのような形と大きさだった。
立食のふるまいと同じようにテーブルに並べられているが、そこには他のテーブルと違ってアテンダントはついていなかった。黒い高級感のあるケースに整然と並べられたそれは、自由に取ってもいい食べ物らしかった。
だって、すでに2つ取りあげられたようで、アーモンド型に穴が空いていたから。
(キャンディ? いや、チョコレートかな)
アルコは1粒取りあげてケースに3つ目の空席を作り、ピンク色のそれの匂いを嗅いでから、先ほどのチェリーと同じように ぽちゃんとシャンパングラスに入れた。
ローの背中を見つけて、追いかける ────
「?」
ジュワワワワワ………………
ゴボッゴボッ………………ゴボッ
ドパッッッッ!!
「っ?! 熱っっっ!!!」
突然、ワインが泡立ち、激しい熱を持ってはじけた。アルコはグラスを投げ捨てたが、グラスは割れず衝撃はじゅうたんに吸収されたため、そこまで周囲の注目を集めることはなかった。
(これは………沸騰した?!)
アルコの左腕にはドレスの薄布がまとわれていたため、突沸のダメージをかわすことができた。
赤いじゅうたんに広がるシミはジュワジュワと音をたてて泡立っている。