第20章 宝物
「きゃっ!!」
「オイ、何だコイツ。大丈夫なのか……?!」
近くで小さな悲鳴と ざわめきが起こった。
(っ? なんだろう)
飲み物を取りに行ったローを待たずに、ざわつく方向へ歩みを向けた。
その場にいた4、5名が注目している先に視線をやると、黄色いドレスを着た女がうつぶせに倒れていた。はち切れそうなドレスは、もともと彼女がふくよかだったからなのか。顔はふせられていて、この角度からは見えない。
「…………あ゛……づ……………っっ!」
「!!!」
女が身悶えするように動き出した。気を失っている訳ではないようだ。赤いじゅうたんをかきむしり、何かをこらえているようだ。
何、あの人。どうなってるの
「────!!」
「下がれ」
ローに腕をつかまれ、徐々に注目が集まりできかけている人だかりから遠ざけられる。
「そっちを見張れ。誰がみている」
肩にローの背中があたる。急に緊張感が走り、背中合わせで会場を見渡す二人。
『何か』が始まったのか ────
「どうしたんだ?!」
「おい、なんかやべぇ!」
「誰か、医者を。救急車を………」
何か問題や事件が起こっても『解決してはならない』
その葛藤と罪悪感が心を支配するが、ローはもちろん、アルコも倒れた女に目を向けず会場に視線を泳がせる。