第20章 宝物
アルコは、ローの少ない言葉や表情から、言いたいことがずいぶん読み取れるようになってきた。
言葉は少ないけど、ちゃんと伝わってくる。
だって、みてよ
こんなにも素敵なドレスを作ってくれた
『好き』なんて言葉を言われないことに
あんまりこだわらなくてもいいのかな
それとも、そんなんじゃなくて
作戦のために ただドレスが必要だっただけなのかな
でも 今のは………
気になるんでしょ
“コレ”が男にもらったものかどうか
「ナミだよ」
「?」
「ルフィのところの航海士。ナミって子にもらった。
珀…………“病気”になってから、引きこもってて友達作ってこなかったから。それ以来、初めての女友達だったかも」
そう言ってスパークリングワインを飲みほすついでにチェリーを口に含む。
「強い女だよ。強いっていうか、気性がね。あんな自由人の男達の集まりの中で…ホント楽しそうにやってて。スゴいよね。尊敬してる」
チェリーの種を空いたグラスにプッと吐き出した後で「しまった」という顔をしてから、ニヤッと笑う。
せっかく素敵なドレス姿なのに、素行がこれじゃぁね。
ローはそんなアルコをみて、自信を取り戻したようにいつもの顔で笑った。
「お前と気が合いそうだな」
「そう。だから『大事な友達』」
「それに ────」
あなたが『素直に』なれない分は
私が補えばいいのかな
「ローにもらった。この珊瑚は。
ローが、私にくれたんじゃない。
だから一番、大事だよ」
「!」
それを聞いたローは少し眉を動かしてから仏頂面を作った。「まだ飲むか」と言って、チェリーの種の入ったグラスを引ったくる。
(照れた。かわいー。)
スーツ姿の背中は、少し小さくなったようにみえた。