第20章 宝物
ローからスパークリングワインの入ったグラスを受けとる。
立食ブースには、つまんで食べられる食事とコラボするような宝石類が展示されていた。
例えばチーズのコーナーには黄色くて四角い宝石が。トパーズだろうか。
豆が乗ったカナッペのところには、豆と同じくらいのサイズの緑色の宝石が、銀色の杯のような皿から溢れんばかりに山盛りに。
ラズベリーやチェリーの奥には赤いルビーやガーネットが整然と。
それぞれのテーブルには、その宝石を身につけたアテンダントらしき女性がついていた。
アルコは赤色のコーナーからチェリーを取ってグラスに何のためらいもなく ぽちゃんと入れてから、イチゴをつまんでテーブルを離れた。
立派なダイヤモンドらしき宝石がぎっちりと使われたネックレスが飾られている、女性の胸を模した黒い台座の前でイチゴをかじる。
「欲しいか」
ダイヤモンドの前でローが細長いグラスを傾けながら、そう聞いた。
「う~ん………。いらない」
う~ん、と言った割に まったく未練はない、と切り捨てるような言い方で断った。
「張り合いねェな」
「だってつけるなら、“コレ”外さないといけないでしょ」
“コレ”とはアルコがいつもつけているハートのネックレスのことだ。もともとオープンハートだった“ソレ”には、奴隷の首輪を外した時に代わりに得た珊瑚(さんご)を切り出して作った、赤い装飾がはめられている。
珊瑚の装飾は、器用なシャチに手伝ってもらってアルコが自分で作ったものだ。
「“ソレ”はそんなに大事なものなのか」
誰かにもらったのか
誰か『男』に
「そう、もらったの。『大事な友達』に」
『友達』………………
男とも女とも言わないその言い方に、ローはそれ以上追求することができなかった。
例えば、自分が何か贈り物をしても、その座は明け渡さない。暗にそう言われている。
おもしろくねェな