第20章 宝物
そんな微妙な反応の中、近寄って来たのはペンギンだった。
「背中、ヤバくない?」
「ヤバくねェヤバくねェ。ちゃんと胸張れ」
肩をすくめながら向けた背中にそっと手をあてられる。
「きれいだよ」
「ありがと。………なに、どしたの」
「本当に、きれいだ」
「………!!」
のぞきこむように目を見てそう言われるので、アルコは驚き ついには顔を赤くする。
「女の喜ばし方がわからねェヤツに、教えてやろうと思って」
「………」
ローにケンカを売っているとも取れるその言い方に、その場は凍りつく。ローと長いつきあいのペンギンだから言えることだった。しかし それを溶かそうとしたのも、やはりローやペンギンと つきあいの長い ベポだった。
「そ、そういえば初めて会ったときもアルコは黒いドレスを着てたよね! 色も、キャプテンが選んだんでしょ」
(そうなの??)
「黒は………お前の色だろ。
何色にも染まらない」
「ありがとう。………もう十分」
手の甲を口にあてようとしたが、せっかくキレイに化粧してもらったので、顔に触らないように 控えめに隠して覆った。
──── 嬉しい
オークションの時のあんなぺらぺらの、見せかけだけのドレスじゃなくて
ちゃんと想い(なかみ)が詰まってる
「皆も立って。よく見せてよ」
「いや、“立て”と言われましても……まだ半分ぐらいしか」
自分の股間をのぞきこむような仕草をしたシャチに、両脇のクルー達が強めに叩いてツッコミを入れた。
「アホ、シャッチー」
アルコはようやくリラックスしたいつもの笑顔をみせた。