第20章 宝物
「さ、着てみて」
「………コレ、下着は…?」
「脱ぐに決まってるでしょ。補正ついてるから。アタシのドレス、ナめないでよ」
店長の前で服を脱いだ。
脱ぐのに少しためらったが、店長はアルコの身体のいたるところにある白いアザや傷をみても、一瞬 瞳を揺らがせただけで 何も言わなかった。
袖を通すと胸の辺りからぐいっと引っ張るように整えられ、尻から腰にかけてのジッパーを閉じられることで全体が固定された。
「良さそうね、さすがアタシ」
ワンショルダーの肩の下には治ったばかりの切り傷。
肩から左手の中指のリングにつながった片側の薄布の下には珀鉛病の白いアザ。
胸元は鎖骨の下でまっすぐに切られピッタリとフィットしているが、背中や脚のスリットは大胆に開けられている。
治療したハズなのに、なぜか残っている腰の白いアザは、ちょうどジッパーで閉じて隠された。
スリットが入っているのは、右足のやや後ろ側だった。
こうして着てみて、初めてわかった。
サイズがピッタリなだけでなく、身体に刻まれたアザや傷が絶妙に隠され、一切見えないドレスだった。
アルコの身体のどこにどんなアザや傷があるか。それを知り尽くしたローが仕立てたドレス。
それに気づいたアルコは、鏡の前で目元を潤ませるが、店長に再び「泣くんじゃない!」と言われ、何やらいい匂いのするクリームを背中にゴシゴシと強めに塗られた。